東京高等裁判所 昭和27年(う)1942号 判決
本件記録によれば、原審公判調書中に、所論証拠書類の朗読がされた旨の記載のないことは所論のとおりである。しかし、改正刑事訴訟規則(昭和二七年二月一日から施行)第四四条によれば、裁判所は当然刑事訴訟法第三〇五条乃至第三〇七条に規定する方式に則り証拠書類或は証拠物の取調をするものであるから、公判廷において取り調べた証拠書類或は証拠物はその標目及びその取調の順序を公判調書に記載すれば足りると定め、その取調方法は記載することは要しない旨定めているのである。
従つて若し裁判所が右規定の方式に従わなかつたときは訴訟当事者から異議の申立を為すべきものであり、この異議の申立のない限り裁判所は適式の証拠調をしたものと認めるべきものであるから、原審公判調書に右朗読の旨の記載がなくても原審の訴訟手続には所論のような違法の存するものとは認められない論旨は理由がない。